第2回伴走者養成研修会 平成30年11月17日(土) 於 コカ・コーラ陸上競技場
11月17日(土)に第2回伴走者養成研修会に参加してきました。この取り組みは “ 白うさぎB&G ” という団体が企画されたものです。この団体の名前の由来は、「白兎」で鳥取県をイメージし、「B」はブラインドで視覚障がい者、「G」はガイドで伴走者、「&」はガイドロープのイメージと<安堵>という読みで、安全安心なガイドを!という気持ちが込められているそうです。
この日は伴走者の第1人者である認定特定非営利活動法人日本ブラインドマラソン協会の常務理事でいらっしゃる鈴木邦雄さんをお招きし、講義と実技で3時間、約50名が研修に参加しました。テーマは「視覚障がいのある方が安心してランニングやウォーキングを日常的に楽しむことができる環境を作るため、伴走・伴歩者として必要な知識及び技術について学びます。さらに障がい者と共にスポーツを楽しむことを通じて、心身の健康と互いに認め合い、共に成長し合える社会づくりを進めます」というものでした。
まずは講義です。鈴木さんは視覚障がい者という言い方は嫌いで、“ 選手 ” と呼ぶとの前置きをされました。確かに、伴走者についての話に登場する視覚障がい者は選手のことです。そして、ひとりの競技者として敬意を込めた “ 選手 ” という言い方に好感を持てました。
1時間半の講義で新たな気づきがありました。
〇視覚障害は視力(全盲・光覚・手動・指数)、視野、色覚があり、色覚には手帳が発行されない。現在手帳をお持ちの視覚障がい者の方は31.5万人、日本眼科医会の報告では164万人いらっしゃるそうです。視野の障害で5度あると1人で走行可能とのことでしたが5度はほんの小さな穴が開いているくらいの視野でした。
〇視覚障がい者の方の1人の時の練習方法はロープに体をくくり円を周回する、家の中をぐるぐる走るなど、様々な苦慮があり、たとえ、普段お手伝いしてくれる伴走者がいたとしても、いつでもどこでもすぐに練習できるわけではないということでした。市民ランナーでもある鈴木さんは伴走をするようになってから「練習不足で」という言い訳を恥ずかしくてできなくなったとのことでした。我々はいつでもどこでも思い立った時に走れますからね。
〇伴走の3要素は「・安全・走りやすさ・気配り」だそうです。伴走者と選手はガイドロープでつながりますが、身体幅は自分1人の感覚の3倍になるそうです。感覚をつかめずに選手を木や看板に激突させてしまった例も伺いました。選手が安心して1歩を踏み出せるように様々な情報を声で伝える必要があり、危険予知が1番大切なことだそうです。興味深いことに視覚障がいの選手は踏み出せない恐怖から前傾姿勢になれず、重心が後ろになるため、太ももの前の筋肉である大腿四頭筋が発達しているとのことでした。選手の走りやすさのために伴走者は自分の自然な手の振りではなく、ロープ側の手は外側へ振る必要があるというもの驚きでした。
その後、外へ移動し実技に入りました。アイマスク、ガイドロープを用いて2人組で足、歩幅、手の振りを合わせる練習をしました。はじめはゆっくり歩く練習でしたが、アイマスクをしたままで走るのはとても無理だと疑似体験ですぐに選手の勇気に敬意を覚えました。それと同時に伴走者の責任の重みも実感できました。
ボランティアで “ 思いやり、寄り添う、歩みを合わせる、歩幅を合わす ” などよく使われる言葉ですが、言葉通りの行動も実際に行うと難しいものです。なかなか合わず、選手役の相手の腕に抵抗を与えてしまったりとうまくいきませんでした。
マラソンの練習中や本番中でもも伴走しているからといって他のランナーに「道をあけてください」「どいてください」などといった言葉は使わないそうです。ではどうするかというと「気づいてください!」という思いを込めて手をあげるとか、情報を大きな声で伝えたり、「右から抜きますよー!」などと大きな声をわざと出して伴走していることに気づいてもらう工夫をされているそうです。このお話でも “ 共にスポーツを楽しむ ” という観点からのノーマライゼーションの理念に合っているなと感銘を受けました。
実際、東京マラソンに伴走者として参加されている鈴木さんの大会中の映像を見せていただきました。常に前後、左右に意識を向け、周囲の情報を声に出して選手に伝える姿に驚きました。ボランティア部の生徒たちには、いつもまず自分が心身ともに健康で健全であり、余裕がなけれなボランティア活動はできないよと伝えていますが、とても選手と一緒に走る体力の余裕はないです(笑)。がっ。本日一緒に参加したボランティア部のスポーツマン廣田君は3月の鳥取マラソンに初参加する予定です。体力作りも若者の役目だと思っています。ボランティア部もこれからもどんどん心身ともに鍛えていきたいと思っています。